天才画家ダリ 愛と激情の青春 Little Ashes 2008

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天才画家ダリ 愛と激情の青春 Little Ashes 2008

監督: ポール・モリソン
出演: ロバート・パティンソン, ハビエル・ベルトラン, マシュー・マクナルティ, マリーナ・ガテル

スペイン・イギリスの合作映画。

ロルカの死後に沈黙を通したダリが死の直前になって語ったロルカとの思い出話から着想を得て作られた作品である

ダリが後年、ロルカについて語った話から着想を得て出来た作品。これはダリの青春時代というよりは、ダリの目を通した詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカの青春が語られている。映画としては、あまりロルカを知らないのでそれほど感情移入はできないが、若きダリの生活ぶりが垣間みれて面白い。

ダリを演じている ロバート・パティンソンは、イギリスの俳優で、ハリー・ポッターでセドリック・ディゴリーの役を演じ、トワイライトシリーズでベラの恋人のエドワード・カレンを演じている。ロバート・パティンソンのファンには、彼の魅力が十分に発揮できていないのでこの映画はあまりお勧めできないかもしれない。
フェデリコ・ガルシーア・ロルカを演じているハビエル・ベルトランスペインの俳優。ナイーブで渋い演技が冴えている。これからの活躍が期待できる。

ダリの生い立ちには興味があったし、どんな活動をしていたかも興味があったので、映画の流れとともにまとめてみると。

映画でも描かれているように、ダリは生活には何不自由なかったようである。ダリは1904年5月11日、スペインのカタルーニャ地方フィゲーラスで、裕福な公証人の息子として生まれた。
ダリが裕福な家庭の出身であるのは驚きである。もっと泥臭い雰囲気が漂っているので意外である。
1922 年にマドリードのサンフェルナンド美術学校に入学。その当時マドリードにいたフェデリコ・ガルシーア・ロルカ(詩人)、ルイス・ブニュエル(映画監督)と知り合った。これが映画の始まりである。
やはり才能のあるものはお互いに引きつけ合うんだろう。
ダリとロルカは次第に友情以上のものを抱くようになり、ルイス・ブニュエルはパリへ去る
1923年から1927年の間に、ダリとロルカは、ダリの別荘があるカダケスに行く。二人が夜の海で泳ぐシーンが素晴らしい。海中の中に照明を置いて 二人の泳ぐ時にできる泡が光輝くシーンは奇麗である。ロルカとダリの関係は、次第に親密になって行くが、ロルカの同性愛の求愛にダリは答えず、ブニュエルを追ってパリに逃げるように去って行く。

1928年にパリに行ったダリは,ブニュエルとシュルレアリスムの代表的映画アンダルシアの犬を共同制作した。アンダルシア出身のロルカにとっては、あれは自分への当てこすりだと思う。ロルカは失意のもと、アンダルシアを巡り、ジプシーの歌を聴き、詩集を作る。1928年、『ジプシー歌集』が出版される。

1929年夏、ポール・エリュアールが妻ガラとともにカダケスのダリを訪ねた。ダリとガラは強く惹かれ合いうようになる。
ダリとロルカとの仲は非常に溝が深まっていたが、1935年頃 スペインに来たダリとロルカは再び会う。恋人のガラを紹介し、一緒にアメリカに渡って仕事をしないかと誘う。しかしロルカは、ダリのフランコに対する擁護的な姿勢を嫌いその誘いを断る。

印象派やキュビスムなどの影響も受けていたダリだが、シュルレアリスムに自分の進む道を見出し、1929年に正式にシュルレアリスト・グループに参加した。ダリは1938年にグループから除名されたが、その理由は彼の「ファシスト的思想」が、アンドレ・ブルトンの逆鱗に触れたからであった。

1936年、内乱の雰囲気が高まるなか、ロルカはマドリードから故郷グラナダへ戻る。ここで映画中ではショパンの前奏曲革命をロルカが弾いている。これはこれから起こることを暗示しているのだろう。
フランコが反乱軍を指揮し、モロッコから本土を侵攻。スペインは内戦状態に入る。農民支持を主張していたロルカは捕まり、グラナダの近郊で銃殺された。

ルイス・ブニュエルは、ダリとアンダルシアの犬と黄金時代を共同制作する。これらは、シュールリアリズムを代表する古典的名作である。カトリーヌ・ドヌーブ主演の昼顔、哀しみのトリスターナの監督でもある。

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