椿三十郎 Sanjyuro 1962

  • 投稿日:
  • 更新日:
  • by
  • カテゴリ:

椿三十郎 Sanjyuro 1962

監督: 黒澤明
出演: 三船敏郎, 仲代達矢, 加山雄三, 団令子, 志村喬

この映画を見るたびに椿三十郎というのは、どんな侍だったんだろうと思う。椿三十郎のキャラクターは魅力的である。確かに用心棒の続編だ。私の名前ですか。...つばき、椿三十郎。いや、もうそろそろ四十郎ですが。このくだりは、用心棒では私の名前ですか。...くわばたけ、桑畑三十郎。いや、もうそろそろ四十郎ですが。である。

今回は前回のようにやくざに一人で向かって行くわけではなく、若侍達にうまく諭しながら力を貸す。そして滅法強い。多人数でも1対1でも。なんか幕府の隠密みたいなんだが。
この映画は三船敏郎らしさが、ふんだんに出ている。 黒澤明も用心棒のヒットで肩の力を抜いて、うまく作っている。

やっぱり椿の花が印象的である。白黒映画であるが、小川を流れる椿の花が艶やかであった印象がある。

シナリオは、おそらく1961から始まった同じ東宝映画の若大将シリーズの、若者達のエネルギー、若さ、未熟さを取り込んで、うまく作られている。
特に城代家老の妻のキャラクターは光っていて、三十郎を食うくらいである。
あなたは抜き身の刀のよう。でも本当にいい刀は鞘に収まっている。と言わせたり、娘とともにのんびりとした会話のギャップがこの物語に素晴らしいアクセントをもたらしている。
緊張感の中のほっとした会話、登場人物の個性、そして主人公の何気ない仕草が見せる映画の必須要素といえる。こうした一本調子ではなく、軽快で軽妙なところが娯楽の醍醐味でこの作品の素晴らしさである。
殺陣は、三船敏郎がすごくて簡単に切って行くのだが、最後に迫力ある居合い抜きの殺陣を持ってきて終わりにする。素晴らしい筋立てである。
音楽も椿三十郎の曲は用心棒と同じで、日本の映画音楽の神様的な存在の佐藤 勝が担当している。最後に三十郎が、肩を小刻みに動かして颯爽と去って行くシーンはまさに音楽とマッチした名場面である。

My Rating(評価): 17/20
アクセス数:21