Kill You Twice Chelsea Cain ビューティーキラー5原罪 2012

Kill You Twice Chelsea Cain ビューティーキラー5原罪 2012

これもオーディオブックで読み終わっている。同時に原作も読んでいるが、最後の展開はどうしても読書のほうがついていかない。展開が面白くて聞き終えてしまった。

オーディオの方は、 Christina Delaineは、かなりゆっくりと読んでいて、誰でも聞き取りが出来るくらいである。ただ少しわざとらしさがあり、前作も気になったのだが、自分がなれてきたせいかなじんできた。

前作はほとんど、グレチェンの登場がなかったが、今回はグレチェンがまた主役になっている。

<プロローグ>
アーチーは、グレチェンの担当医から再三電話があり、グレチェンとアーチーの子供が危険であるから会いにきて欲しいと言付けされる。アーチーには身に覚えがないし、グレチェンはアーチーと関係を持った時には既に避妊処置をしたあとんだったはずと思い。その用件を断る。
そして新しい連続殺人が起こる。スーザンは、グレチェンの担当医から誘いを受け再びグレチェンに面会する。そこで、グレチェンは、彼女が犯した初めての犯罪について語る。またグレチェンが殺したと思われた子供の殺人事件は、別の人間、ライアン・モトレィがやったことだと話す。そしてこの連続殺人とグレチェンの生い立ちとが次第に関係していることがわかる。またアーチーの階下には、妖しい若い女性が移り住み、アーチーを誘う。

<感想>
今までのシリーズ作品の中で読者のなかで最高評価である。ついにグレチェンの生い立ちがわかる。グレチェンの連続殺人にもメスが深く入る。そして最後の展開は面白い。新しい登場人物の中で本当に怪しいのは誰かと思って読んでいたが、大きなどんでん返しが待っていた。僕もここまでは想像できなかった。なるほど多くの人が気にいるのも納得がいく。

ただ最後の展開は、予想できることなんだが、このシリーズの持っている怪しさ(これがあったから読み続けたのだが)次第に薄れてきている。ただのメロドラマになりつつあって、今後の展開があまり期待できなくなってきた。

前作の日本語訳がビューティーキラーという題で出ていないのは残念。確かにスピンオフ的な小説だが、ただ連続性があるので、ビューティーキラーシリーズに入れておいた方がよいだろう。この5作目は、ビューティーキラーファンなら読まなくてはいられない本。そして2013の夏には新作がLet Me Goが出版される予定である。

<登場人物>
アーチー・シェリドン グレチェン・ロウェルの連続殺人事件を捜査する警部、一度グレチェンに捕まり殺されかけた。しかしグレチェンには愛情までも感じてしまう。前回の小説で、妻と別れた。

グレチェン・ロウェル 正体不明の美しい連続殺人犯、殺し方は残忍で、グロテスク。彼女の美しさの虜になる共犯者が多数いる。しかしその共犯者も最後には殺される運命にある。何度も捕まっているが、脱走している。今回は捕まっている。

スーザン 新聞記者をやめてフリーランスになっている。このシリーズの最初からの登場人物。アーチーに魅かれている。レオという恋人がいる。

ヘンリー アーチーの古くからの同僚、前回の事件で足に障害をもっている。クレアと恋人関係

クレア アーチーの同僚、ビューティーキラーの事件をアーチー、ヘンリーと共に以前から捜査の担当をしている。

パトリック 前回の事件で、シリアルキラーに誘拐され犯罪の助けをさせられていた少年。

レイチェル 怪しい、アーチーのアパートのすぐ下に越してきた若い女性。グレチェンによく似ている。

ライアン・モトリー グレチェンが示唆する今回の連続殺人犯の名前。グレチェンが殺したとされる子供達の本当の犯人とグレチェンが言うのだが。

パーム 以前にアーチーをテイザーで、失神させた。家庭のない少女。今回の連続犯となんらかの接点がある。

ハフィントン 最初にグレチェンが殺した被害者の待ちセントへレナの警官。

ブリス スーザンの母、かなり飛んでいる。昔のヒッピー文化がしみ込んだ世代の代表。

ビートンファミリー この家族は、Kill You Twice で重要な役割をなす。グレチェンが最初に殺したのがジェームス・ビートン。その妻がダスティ・ビートン。息子がコリン・ビートン。娘がメリッサ・ビートン。

過去の作品の紹介

Heartsick ビューティーキラー1 獲物 (2007)

Sweetheart ビューティーキラー2 犠牲 (2008)

Evil At Heart ビューティーキラー3 悪心 (2009)

The Night Season Chelsea Cain ビューティ・キラー4 昏い季節 (2011)

Kill You Twice Chelsea Cain ビューティーキラー5 (2012)

Let Me Go Chelsea Cain レッツ・ミー・ゴー ビューティーキラー6 チェルシー・ケイン( 2014)

ここからは本を読んでから。

<読後の感想>
メリッサ・ビートンがグレチェンに借りがあった。その借りについてはこの小説でははっきりと明らかにされていない。ただ、アーチーがセントへレナの町に、ジェームス・ビートンの死の真相を確かめに行ったこと、それが、グレチェンの最初の犯行であったこと。
そして、グレチェンが、ダスティ・ビートンについて、彼女は自分の前で起こっていることも見えていないと言っていること。そしてメリッサが、グレチェンには恩があると言い、グレチェンもメリッサに貸しがあると言っていることからも想像がつく。そしてグレチェンの最初の犯行の動機は、自分のためでなかったということ。
これを作者が明らかに書かなかった理由はわからない。

もう一つグレチェンの娘の父親は誰かと言うこと。コリンが言っていたWe reap what we sow.の言葉は気になる。しかしセント・へレナに来る前に妊娠をしていて、ジェーム・ビートンが中絶を進めたのも彼を殺した動機と言っていることからやはりグレチェンの娘の父親は謎なのだろう。そして彼女が、どこまで娘のことを気にかけていたのか、愛していたのかは。それは読者が想像することにまかしている。

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