続忍びの者 1963

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監督: 山本薩夫
出演: 市川雷蔵, 山村聰, 藤村志保, 坪内ミキ子,東野英治郎,

残念ながら前作の最後のような忍術をテーマにしていない。時代の流れに逆らうがごとく、権力者の暗殺を試みる忍者の姿が描かれている。村山知義ガ原作なのだが、この作品がどこまで原作に忠実にえがかれているかわからない。ただ、その後の霧隠才蔵もこの路線になっている。
明智光秀の本能寺の変、山崎の戦いなどが描かれていて見所が多いのだが、逆に五右衛門の活躍は??確かに、織田信長を我が子の仇として討つのだが。

石川五右衛門がこの雑賀衆のなかにいて、織田信長を討った後すぐに秀吉に攻められるのは少し史実と異なる。1582年に本能寺の変、1585年に雑賀衆が壊滅する。
雑賀衆は紀伊国北西部にいた土豪の集団である。16世紀当時としては非常に多い数千丁単位の数の鉄砲で武装しており、きわめて高い軍事力を持って傭兵集団としても活躍した。又海運や貿易も営んでいた。

この作品でも、五右衛門の妻マキを演じる藤村志保が初々しい。
坪内ミキ子が、蘭丸から情報をえるくの一タマメを演じている。このくノ一が蘭丸とともに死ぬのはその悲しさが描かれていていいのだが。もう少し前半に任務と愛情の葛藤が描かれていると良いのだが。織田信長を若山富三郎、羽柴秀吉に東野英治郎、明智光秀に山村聰と後でTVなどでも活躍した俳優が一杯出ている。

この映画の物足りなさとしては、実際には、大泥棒としての石川五右衛門をもっと描いて欲しかった。そして忍者映画としての要素をもっと入れて欲しかった。確かに忍者の定義にも寄るのだが、この映画シリーズ、忍びの者こそ忍者映画の元祖でもあると思うのだが。戦略よりもっと忍法の方にもテーマが入っていた方が良かった。

市川雷蔵の映画 the world of Raizo Ichikawa

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