大菩薩峠 1960 Daibosatsutouge

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監督: 三隅研次
出演: 市川雷蔵, 本郷功次郎, 中村玉緒, 山本富士子

この大菩薩峠はあまり見ていなかったかもしれない。だれの大菩薩峠を昔見たのかはさだかではない。映画では市川雷蔵と仲代達矢のが有名か。大河内傳次郎や片岡千恵蔵のは古すぎるか。ただ市川雷蔵がこの机竜之助を演じるのがまさに適役と思う。この後に眠狂四郎シリーズが続くのだが、その証明でもある。

剣を追求する者は、結局は辻きりに落ちてしまうのか。机竜之介が、なぜ辻斬りをするのかが、あまりはっきりしない。確かに剣を追求する為に本物を斬ってみたいと思ってしまうことはあるのだろうが。

お浜はやはり悪女である。宇津木文之丞の内縁の妻が一人で机竜之介の所に御前試合に負けてくれと頼む。逆に、剣に生きる机竜之介が自分の魂を汚されたと思うのはなるほどと思ってしまう。このシーンのカラスの描かれているふすまは、この映画以外にも使われている。眠狂四郎と、斬るだったか。竜之介に陵辱されたお浜は、その後も竜之介を追いかけてくる。大きな杉の中での殺陣が幻想的で素晴らしい。竜之介の強さを見て、妖しく輝くお浜の目の演出がいい。竜之介はそれを拒むわけでもなく江戸に一緒に行く。そして生まれた郁太郎がいるにもかかわらず、お浜は眠っていた竜之介を殺そうとする。結果的に竜之介に殺される運命にあるが。お浜を殺すシーンも素晴らしい。妖気が漂うくらいのシーンである。お浜を演じた中村玉緒はこの映画ではまさに実力を発揮していると言っていいくらいの迫真の演技である。

音無の構え
時代劇に出てくる秘剣と言われるたぐいのものはいつもネーミングがいい。これはその中でも優れものだろう。ただ、名は体を現すほどどんな剣なのかは、あまり説明がない。

お松を演じる山本富士子が巡礼の娘であり、その後京都の女郎屋に売れるにはあまりに豪華な雰囲気なので、別女優の方が良かったのではと思ってしまう。

最後の京都島原の角屋での、机竜之助とお松の出会い、そして幽霊に悩まされ狂った竜之介が、御簾を斬って行くシーンが実にいい。

大菩薩峠が実際にあるのは、後から知った。
j大菩薩峠 は、山梨県甲州市塩山上萩原と北都留郡小菅村鞍部の境にある峠。標高1,897m。 この峠から稜線を北へ辿れば大菩薩嶺がある

市川雷蔵の映画 the world of Raizo Ichikawa

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