眠狂四郎無頼控 魔性の肌 1967

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監督:池広一夫、脚本:高岩肇、音楽:渡辺岳夫
出演:市川雷蔵、鰐淵晴子、成田三樹夫、久保菜穂子、金子信雄、遠藤辰雄、他

この映画もストーリがしっかりしていて、展開がわかりやすく面白い。この作品もシリーズの中では好きな眠狂四郎のシリーズ上位にくる。
眠狂四郎を取り巻く中心の女性が、二人。おえんを演じる久保菜穂子と朝比名ちさを演じる鰐淵晴子である。眠狂四郎を好きになる二人の対比が面白い。
前作の三隅研次監督とは違い、池広一夫監督は、やっぱり、色っぽい映画になっている。濡れ場(時代劇でこういう用語だろう)のシーンが多く、眠狂四郎の面目躍如である。そして円月殺法のときの剣の残像も一杯駆使している。

黒指党が眠狂四郎を誘うために描かれた絵(手の小指が黒い)が道案内になっているのは、すこし苦笑しないではいられない。

悪役の闕所物奉行朝比名修理亮を演じる金子信雄が本当に若い。
今回は女優陣がしっかりしてる。久保菜穂子も相変わらずいい味を出しているし、眠狂四郎シリーズ初の鰐淵晴子も純真で可憐な娘を演じている。前回脂問屋の長女を演じた三木本賀代が、また門付の女で出ている。脇役ではあるが彼女は意外に美人である。また鰐淵晴子以外の総ての女優が以前の作品にでているのが面白い。

この映画のテーマは不幸な生い立ちである。混血ではないと思うけど。狂四郎の好きな女性は、生い立ちが不幸でその運命に勇気を持って立ち向かう女性。これは全シリーズを通じて一貫している。今回は朝比名ちさの生い立ちである。これは最後に明かされるのだが。

右近も狂四郎と同様に外人を父に持つ不幸な生い立ちである。しかし狂四郎と違う道を歩み、 ディアブロ(悪魔)を神として崇める宗教を作っていた。そこに狂四郎は同情も共感もしない。カルト教団黒指党の教祖役右近の役で演じている成田三樹夫が若々しくそして格好いい。悪役はこうでなくてはの見本である。

最後のちさを河原で焼いて去って行く狂四郎の虚無感がやっぱりいい。

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