Tess 1979 テス

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監督: ロマン・ポランスキー
出演: ナスターシャ・キンスキー, ピーター・ファース, リー・ローソン
1980年度アカデミー賞撮影賞、美術監督装置賞、衣装デザイン賞

ポランスキーの奥さんだった、シャロン・テートに捧げた作品。To Sharonとオープニングのクレディットの最後にでてくる。オリジナルは3時間を超える大作。興行的な問題として、30分ほど削られているものが多いが、当然ポランスキーはそれに反対していた。
何にしてもナスターシャ・キンスキーの美しさが光る。まだまだ演技がうまいとかいう時期ではないんだろうが。どの場面にも素晴らしい美しさでテスが描かれている。苺を食べるシーン、水であふれた道をエンジェルに抱かれて運ばれるシーン、最後のストーンヘンジの岩で寝ているシーンはどれも印象に残っている。ボートに乗って日傘をさしているシーンも美しいが、原作にはないシーンと思われるし、なにか原作のテスとは雰囲気が違うのであまり好きではない。

ピーター・ファースが演じるエンジェルも、リー・ローソンが演じるアレックもどちらも際立った個性がでていて素晴らしい。

物語としては、前半は素晴らしいのだが、後半の部分はかなり飛ばして描かれているので理解し難い展開があると思う。最初に見た時もこの後半部分が解り難く理解できなかった印象がある。やっぱりそこは、原作を読んで補うしかない。

イギリスの風景が本当に美しい。(本当はイギリスではなくて、フランスで撮られている。)アカデミー賞撮影賞を撮ったジェフリー・アンスワースは、この映画の撮影中になくなり、その後 ギスラン・クロケに委ねられた。1980年にアカデミー賞撮影賞をこの二人が受賞する事になった。

この映画は、英文学にも興味を持たせてくれた作品。映画の中では、イギリス南部の農村の形態についてはかなり原作に忠実に描かれていが、原作のダーヴァヴィル家のテスは、もっと長く他にもいろいろな内容が詰まっている。

テスのダーヴァヴィル家にまつわる運命。ダーヴァヴィル家の馬車の呪い。エンジェルとアレックのキリスト教に対する考え方などがある。その中でもテスの運命的な要素はもっと映画に入れても良かった気がするのだが。でもよく考えると ダーヴァヴィル家を題名から取リ除いているのは、そう言う意味だからか。そしてテスの題名のデザインに血が染み付いたハートマークを加えているのは、原作にもアレックがさされた血が天井に染みた形が大きなハートマークと書かれている。そう意味では、考え抜かれた題名とデザインだろう。

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