The Martian Chronicles Ray Bradbury 火星年代記 レイ・ブラッドベリ

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年代記にしては、歴史小説ではなく、個人個人の出来事が、年代を追って描かれている。実際には、ブラッドベリは、短編小説を書いたものを、編集者が長編小説にしたくて、年代記の形になったものである。
一つ一つがSFを題材にした主人公の心の変化を中心に書かれていることが多い。
火星に到着した人間に何が起こるのか。これが、宇宙戦争的なスペクタル的な描き方でなく、極身近な出来事のように描かれている。
そして、火星人の持つ特殊能力は、テレパシーである。これにより地球人と交流が可能なのである。
宇宙飛行士の英雄意識や揶揄されている。そして征服するものと征服されるものは、アメリカン人(American)とインディアン(native American)の関係に対比して書かれている。
そして短編の題材についてかいつまんで説明すると。

火星人のテレパシーThe Earth Men
水痘の流行The Third Expedition
地球の植物が火星でどう変化するかThe Green Morning
時間を超えた火星人との交流、Night Meeting
新しい開拓地には宗教家も来る。そして彼らが出会った火星人は、The Fire Balloons
火星に旅立つ女性 The Wilderness
華氏451の続編のような、復讐劇 Usher II
人の寂しさにこたえる火星人The Martian
火星にホットドッグショップを建てたが。The Off Season
火星に取り残された人間に電話がかかってくる。The Silent Towns
第4番目の火星到着隊の一人は、火星で幸せな家族生活を送っていた。そこに木星から帰ったきた隊長が訪問する。The Long Years
理想的に人工的に作り上げられた家は、破壊のときを迎える。There Will Come Soft Rains
火星にピクニックに来た家族の運命は、The Million-Year Picnic

地球で原子爆弾による戦争が起きると、火星に住んでいた人が地球に戻ってしまう。この発想には、あまり賛同できなかった。逆に地球から数多くの人が避難してくるはずなのに。
最後に地球が消えてしまうのは、レイ・ブラッドベリが書いた時代(1950)では本当に斬新だっただろう。僕には、あまり違和感がないのは、SFの見過ぎなのか、地球にあまり幻想を持っていないからか。最近、日本に起こった震災は、その前兆だろうか。
また1950年に書かれたものなので、もう過ぎ去ってしまった未来像もあり面白く読める。彼が予測できなかったものも一杯あるから、それを見つけるのも面白いかもしれない。

火星年代記の資料では、
Rocket Summer
Ylla (February 1999/2030)
The Summer Night (August 1999/2030)
The Earth Men (August 1999/2030)
The Taxpayer (March 2000/2031)
The Third Expedition (April 2000/2031)
--And the Moon Be Still as Bright (June 2001/2032)
The Settlers (August 2001/2032)
The Green Morning (December 2001/2032)
The Locusts (February 2002/2033)
Night Meeting (August 2002/2033)
The Fire Balloons (November 2002/2033)
The Shore (October 2002/2033)
Interim (February 2003/2034)
The Musicians (April 2003/2034)
The Wilderness (May 2003/2034)
Way in the Middle of the Air (June 2003/2034)
The Naming of Names (2004-05/2035-36)
Usher II (April 2005/2036)
4.20 The Old Ones (August 2005/2036)
4.21 The Martian (September 2005/2036)
4.22 The Luggage Store (November 2005/2036)
4.23 The Off Season (November 2005/2036)
4.24 The Watchers (November 2005/2036)
4.25 The Silent Towns (December 2005/2036)
4.26 The Long Years (April 2026/2057)
4.27 There Will Come Soft Rains (August 4, 2026/2057)
4.28 The Million-Year Picnic (October 2026/2057)

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