Unnatural Exposure 接触 1997 Patricia Cornwell パトリシア・コーンウェル

ゴミ廃棄場で発見された胴体だけの死体から事件が始まるが、それはこの事件の全貌からするとほんの小さな氷山のかけらでしかなかった。
これは、検屍官ケイ・スカーペッタ(Kay Scarpetta)をヒロインとするシリーズの中でも一番評価が高い作品である。Audio Bookで聞いたが、シリーズの前後の関係はわかなくても容易に読み(聴き)進むことができた。
この1997年当時からすれば、ウイルスによるテロを扱った作品は少なく時代の先端を行っていた。2001.9.11以後細菌、炭疽菌(アンスラックス)によるテロが起きてからは、こうした事件は起こりえるものだと考える人が多くなって、もっと身近になっている。天然痘smallpoxとそのミュータントなど、作者の医学的な知識だけでなく科学的な造詣の深さをうかがわせる。AOLのchatを犯人との連絡手段に使ったり1997としては新しい技術がふんだんと取り入れられている。
最後のdeadocとの対峙は、最高の盛り上がる場面である。謎解きの部分では、キィとなるべき点は主人公自体が気づいていても作品の中で語られない。こうした書き方もあるんだと思うが、一緒に謎解きをしている一体感がないことに最後に気づかされる。またやはり、女性的な題材や流れが多く、事件の進展、同僚との関係、絡み合いもその傾向が強くこうした趣向は好みが別れるだろう。

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